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イースI・II完全版 -COMPLETE-
"ANCIENT Ys VANISHED OMEN"
"ANCIENT Ys VANISHED THE FINAL CHAPTER"
YsI
・II Complete



ゲームレビュー


イースI・II COMPLETE〜完全版〜/レビュー
テキスト作成:2003年3月12日、加筆修正3月17日
BGM : 銀色完全版より「ぎんいろ」



眩しかった日のこと・・・・ そんな夏の日のこと・・・・。










「昨日の追い剥ぎ報告、合計8名。 おかげで結構金があるぜ・・・」



「そんなわけだから、久しぶりに立川にでも繰り出すか? あやめ」




「うん・・・」












「おい おやじっ! 今日は何があるんだ?!」



「は、はいっ、お侍様っ・・・!握り飯と”イースI・II完全版”がございますっ!」




「イースI・II完全版? 何だそりゃ?」



「は、はいっ!『”イースIエターナル”と”イースIIエターナル”を統合した、
完全なる至高のイース』で御座います! きっとご満足頂けるかと思います!」




「この黄色いパッケージがそれか?」



「はいっ! 黄金に輝く素材をふんだんに用いた、
特別受注生産による豪華パッケージにございます!」

「今ならば、初回限定版に付き無料でOVAやサントラもお付けします!」





「”輝く”・・・? 眩しいくらい輝くの?」



そう言って奴が肩にとまった蛍をまじまじと見つめる。




「そりゃあもう、おじょうさんっ! 完全版ですからっ!!」




「何だ?興味があるのか、あやめ? 俺はにぎり飯の方が無難だと思うが・・・」




「でも、こんな私でも照らしてくれるかもしれない・・・」




「ふむ、なるほど・・・。 でも食わなきゃ死ぬしなぁ・・・。」



「うん・・・」




「あやめに任せるさ。 お前は一体、どっちを望む?」






「・・・う〜ん、う〜ん・・・・・・」




⇒イースI・II完全版を望む



”イースI・II完全版”、お買い上げありがとうございます〜っ








そして・・・・。



「よし、じゃあ早速やってみるか、あやめ?」


「うん・・・」


「完全なる至高のイースとやらを、とくと見せてもらおうじゃねぇか・・・・・」


「そうだね・・・」













・・・あなたは女のことはあまり御存知ないのね・・・




・・・アドルは狂おしく女を抱きしめ、豊かな乳房に口づけをした・・・






・・・OVAは殺人的につまらねーな。 所詮は、特典の値段か・・。」



「ゆらゆらと・・・ゆらゆらと・・・
女の人の顔が崩れているよ・・・。」

















「そりゃエロゲに比べたらムービーは段違いだよな。」




「・・・全然輝かない・・・」
















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・




「・・・・・・何なんだよこれは・・・?時代遅れのゲーム・・・。
それだけか?そんなものに、あんな大金をかっぱらったのか?」



「・・・・儀助・・・ わたし、目眩がしてきた・・・」




「あやめ、しっかりしろっ!」



「畜生! やっぱり握り飯にしとけば良かったんだ!」






「でもね・・・儀助・・・・・・ こんなゲームでもね・・・・・・」











「確かに・・・、確かに・・・ 発売されていたんだよ・・・」







「あやめがうわごとをっ!!」



「おい、あやめっ、気を確かに持ってくれっ! 
俺が作った奴らに仕返ししてやるからっ!!」






「でも儀助・・・・・・、それよりも・・・」




「何だ、あやめ! 憎いのか!? 悔しいのか!? 一体お前は何を願う!?」





「わたし・・・わたし・・・」








「どんな願い事も叶うのなら・・・」



「お前だったら何を願う?」



「やっぱり・・・元気になりたい、か?」




奴にとって、願いが叶うということはどういうことなのだろうか?



「どうだ・・・?」



「やっぱり・・・」



「・・・やっぱり分からないか?」



「わたし・・・・わたし・・・・」





((お前なら、何を願う?))





「お金を返してほしい・・・」







ガクリ・・・




「あ、あやめぇっ!!」






「・・・おい? 起きろよ?」


俺は奴を揺さぶってみた。しかし、目を覚ます気配はない。
・・・閉じた目は、開かなかった。



「・・・なんだよ」


・・・ようやくゲームを手に入れたのに・・・


全身の力が一気に抜けて、思わず立っていられなかった。
・・・まるで真冬の雪景色の様に白いその顔。
手に触れた頬は、雪よりも冷たかった。

いつもの事じゃねえか。



「ははっ、弱い奴は死ぬんだよ!」



・・・そうさ、いつものことじゃねえか?
ずっと自分に言い聞かせてきた言葉じゃねえか?




「・・・そう・・・当たり前のことじゃねえか・・・。」




・・・抱きかかえた奴の体に、いくつかの水滴が落ちる。
・・・その冷たい頬に水滴が落ちていく。








・・・俺は泣いた。もう枯れたと思っていた涙が、また溢れ出す。





・・・降る雪はいっそう激しくなり、ちっぽけな俺達を埋め尽くそうとする。
・・・懸命に、それでも懸命に生きてきた俺たちを・・・
まるで初めから何もなかったかのように、全て消し去ろうとしていた・・・











「イースI・II完全版・・・許さねぇっ・・・!!」







その日、立川の街にはたくさんの雪が降った。
・・・哀しく冷たい冬の雪が降った。





・・・立川の街を白い雪が覆った冬の日のこと・・・
・・・冷たい風に空が凍りそうになった冬の日のこと・・・



・・・確かに、確かに・・・光っていた日のこと・・・・


懸命に・・・それでも懸命に・・・生きようとした日のこと・・・












・・・眩しかった日のこと・・・そんな夏の日のこと・・・




与太話

僕が、イースI・II完全版を買いに行った発売日。ベスト電器熊本本店、午前10時過ぎ。つまり開店直後。そのとき既に、ゴールドパッケージを持ってレジに並んだ人が三人はいて、さらに手に取ってレジに運ぼうとする人は二・三人はいた。つまり、その空間では、「イースI・II」目当てで買いにきた者が六人はいたことになる。
恐るべし、イース効果。恐るべし、ファルコム。


ゲームレビュー

「完全なる至高のイース」、「特典の値段です、ゲームは無料(ただ)のオマケです」など、全てのイースファンの怒りを買うには、お釣りが来るぐらいのパッケージであった。
イースIIエターナルが発売された2000年夏より丁度一年、イースIエターナルとイースIIエターナルを一つのパッケージとして売り出す企画が飛び出した。そもそも、イースIとイースIIは、二つで一つの物語である事は、既に多くのファンがご存知のことだと思う。(イースIとIIが一つの物語として発売されたのは、過去に1989年のPC-ENGINEのイースI・II:制作・ハドソン、という好例がある。)しかし、そうなると、エターナルが発売されたにも関わらず、









「エターナルの更なるエターナル化」
(⇒参照
イースI・II完全版バイヤーズガイド縮小版








というキャッチコピーをも有していた完全版。二つのエターナル作品は、一体何だったのか?という点にたどり着く。二作続けて発売された”エターナル”は、”不完全版”だったのか?という疑問が浮上する訳である。

上のテキストストーリーでも皮肉っているように、イースI・II完全版を、いや、今の利益第一主義の塊であるファルコムが作るイースI&IIをプレイして、”自分はイースファンだ”と思うようであれば、知らず知らずのうちに、自分にとって最も大切なものを失っているのかもしれない。
それぐらい、ファルコムにおけるイースは大きい。
みなさん、注意されよ。そして、現実のファルコムをしかと見よ。
「イースI・II完全版」という、ファルコムが実際に行った手法を。
貴方が仮にもファルコムファンを名乗るのであらば、この現実から目を背けてはならない。



市場に不完全なものを投入し、幾度となく金を採取しようとする姿勢。
もはやそこに、僕が七年間ファンとして共に過ごしてきたファルコムの姿は無かった。
かつてのファルコムは、『技術のファルコム』、『A.RPGの老舗』、『就職したいゲーム会社No.1』などの名声を得てきた。しかし、イース完全版で取った利益第一主義と、ゲーム価値と特典価値とを逆転させるクリエイターとしてのプライドを捨てた販売戦略などにより、一つの個として尊敬できる存在ではなくなっていた。
僕は、「イースI・II完全版」を前後してファルコムを見限った。
これからも、「惰性」とか「せっかくだから」とかいう理由でファルコムのゲームを買うだろう。
しかし、そのゲームブランドはかつての自分が信頼し、敬愛してきたブランドでは最早無い。



・・・・・・。



ゲームブランドが、ユーザーを大切にする心を忘れた時、ファンだったユーザーはひとり、またひとりと離れていく。ゲームの出来そのものも大切であるが、ソフトウェア・ブランドの姿勢にユーザーは何よりも敏感なのである。インターネットが発達し、ゲーム情報が一瞬で伝わるようになった現在だからこそ尚更である。ファルコムは肝に銘じておくべきであろう。

イースI・II以降は、VMジャパン・ダイナソアと売上げ面でも悩み始めてきている。ファルコムファンの大多数が離れていったという事実を直視せねばならないだろう。そして、その理由は単にゲームが『大多数のファンの趣向に合わなかったから』、『単純に面白くなさそうだから』だけでは済ませられない、もっと根幹的な部分にあることを。


ここでテキストストーリーとして引用した「銀色」(2001、ねこねこソフト)は、同じ時期にDVDの完全版を発売しているが、元のCD-ROM版とストーリーを補完したDVDをつけて4000円に満たない定価設定であった。コメントを書いている時は、比較を兼ねた皮肉のつもりは無かったが、書き終えてみると「あれっ?」と思った。
18禁ADVとA.RPG。ゲームジャンルからして比較対照とはならないが、たがいに似たようなリメイク手法を取りながらも、受ける印象が全くの正反対であったということに気付いたのでした。


画像引用:ねこねこソフト様 テキスト引用:さわたりのページ様(ごめんなさい)
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