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英雄伝説IV 朱紅い雫

LEGEND OF HEROES IV Gagharv trilogy second "A Trar of Vermilion"


ゲームをプレイしての感想


 

1996年末、Windows95のラインナップ発表の時はまだよちよち歩きだった「朱紅い雫」。それから三年間近い年月をかけて英雄伝説ファンにも文句の出ようが無いほどの作品としてリニューアルされた。
ただのベタ移植ではなく、Windows版としてしか出来ない事を求めた「新」朱紅い雫。例えばフルカラーのグラフィック色を用い、見せる部分はちゃんと見せたことなどが挙げられる。ムービーなどは、色数に負けていない秀逸な物だった。
ここからは、ストーリーに多少関わってくる感想を述べたいと思います。

                         !!DANGER!!
ここから先は、ネタバレの嵐になると思います。ゲームを未プレイの方、もしくはプレイ中の方は注意してください。 (ネタバレの嵐が来るぞ、気をつけろ!)

*ゲームのレビュー
65536色・ハイカラーを採用しているのだが、どこがハイカラーなの?と思ってしまう。その理由としては、グラフィック全体が消極的なチップ構成だからだ。よく目を凝らすと、確かに丁寧に描かれている。しかし、「PC-98版朱紅い雫」を基本テイストとしているので、どうしても古臭いイメージが強い。残念といえば残念なのだが、”英雄伝説シリーズ自体の流れ”がこのチープさにあるのだから、仕方が無い。
グラフィック関連について思った事が他に有る。ゲームをじっくりとプレイしていれば感じる事だが、3Dを用いたエフェクトが予想以上に丁寧に描かれている事だ。アヴィンの斬撃にしろ、魔法の詠唱にしろ、地味ながらそのエフェクトは実に多彩。特に、ラスボスの特殊攻撃などは、シューティングゲームさながらの爽快感を感じてしまうほどの錯覚を得るほどだ。標準で60FPSをたたき出す「朱紅い雫」。決して凄い事でもなんでもないのだが、細かい部分にまで丁寧に作られている。

ゲームの大半を占める戦闘については、突出した点は見られなかった。旧作のタクティカルバトル形式をちょっぴり継承しつつ、「海の檻歌」と「新・白き魔女」の戦闘システムを混ぜた物に変化している。移動フィールドがそのまま、バトルフィールドに変わるのはガガーブ三部作の伝統と言える。旧版では、足の速い順からコマンドを手動(自動も可)で入力し、移動力歩数だけキャラを動かし、射程圏内に敵が居たら攻撃や魔法を行う物だった。ファイアーエムブレムのようなタイプといえば分かるでしょうか。
新バージョンでは、まず、プレイヤー全員がリングコマンドで一通り入力を済ませる。すると、指定先にまで半リアルタイム方式で移動を始め、攻撃や回復などを行う。ここで注目したいのが、行動後の待機時間だろう。リアルタイム性が増した戦闘を演出するのに、攻撃後の待機時間(硬直)の要素がある。これを「ATブレイク」などで消し、連続攻撃も行う事も可。
コマンド入力後、移動を開始しても、攻撃・防御などのアクションが発動しない限りは何度もやり直しが効くのは、ちょっとした易しい配慮なのかもしれませんね。
「必殺技」は、旧・Wのコンバットアニメを使用している。例えば、アヴィンの必殺技は、PC-98版の通常攻撃アニメと同じ物だった。旧作プレイヤーの自分としては、アニメパターンをもう少し強化して欲しかった。3Dのエフェクトが綺麗で滑らかなのに反して、下段に表示されるアニメはちょっとこま落ちしたような感じ。

*ストーリーの大幅変更について

PC-98時代から続いた、後期英雄伝説シリーズ(ガガーブトリロジーシリーズ)。その終幕を飾るにはじゅうぶん過ぎるほどの良作だなと、僕は思った。思えば、白き魔女から始まっていたシリーズ。気付いたら六年も続いた長寿シリーズとなっていた。ふたつの「朱紅い雫」は、PC-98版(1996年)とWindows95/98版(2000年)にリリースされた。

さて、ゲームとしての感想を書きたいと思うが、念頭においておかなければならない事がある。
そう、PC-98版とは全く違うゲームだという事だ。全ての概念で、PC-98版よりも遥かにグレードアップしたWindows95版。ゲームストーリーがPC-98版とまったく違っていた点で、かなりの旧作ユーザーが面食らったと思う。これは、「完全なガガーブトリロジーとしての調整」であると考えられる。ゲームストーリーは、主人公の妹探しや、後半の神宝集めといった大まかな部分は旧作のメインストーリーを完全踏襲しているが、実際の所は全く違う。

絶望の淵に立たされたアヴィン。そこから自分のこれからすべき事を手探りでさがす・・・(PC-98版ストーリー)

だが、人は未だ神々の運命に囚われ続ける

ストーリーの根幹で流れている物も変更されているみたいです。詳しくは文章力不足で書けませんが、PC-98版で言いたかったことと、Windows版で言いたかったことは似ていて異なる物だと思います。ストーリーから感じた事は人それぞれで、僕はこう考えています。

復讐とか、恨みとか「負の要素」の表現はあんまり無く、逆に「希望」とか「絆」とか前向きな感情を前面に持ち出したストーリーとなっていた。唯一無二の親友や、妹との絆・・・そこから生まれる「力」というものはたとえ神々の定めた絶対的な運命であろうと、曲げるぐらいのエネルギーを生み出す。ゲーム終盤、絶対的な神の力の現れである「カテドラールの結界」をアヴィンは、神剣エリュシオンを以って破壊します。単純に考えるならば、「もう一つの神の力を宿した聖剣だから破壊する事が出来た。」でまとめれます。だが、そう簡単に考えたくない。その聖剣を作り上げるにも様々な人の手を借り、今までの苦労に満ちた旅の成果によって出来た物なのだ。

「人間には、神にはない素晴らしい力を持っている。」
PC-98版エンディングでの名台詞です。

アヴィンは、生き別れの妹に逢いたいの一心で旅を続けてきた。
「神々が定めた運命など関係無い。ただ・・・アイメルに逢いたかっただけなのに。」
と、CDドラマ内の台詞にある。

結果として、人々は巣立ちを迎えるわけですが、全員がその神々の消滅を認めきれないわけですよね。
今まで信じてきていた物はもう存在していないという事実を真に受けとめられなかった人たちもいた。
そのあたりの描写は、直接されてはいませんが、人々の心の葛藤を表現するのには最高のテキストだったと僕は思います。


さて、PC-98版とWindows版の違う点を幾つか述べてみました。
変更点を見極めることができるのも、PC-98版ユーザーに与えられた特権のような物ですね。

・ミッシェルの登場シーンが全く違う。その後の登場では、海で溺れたりしている。
・神剣エリュシオン → エスペランサー、の名付け親の違い。
・マドラムの設定がかなり違う。
・ボルゲイドのキャラクター崩壊(狂う)。
・バルドゥス教の三賢者の設定。
・アイメル&マイルの生死に関する設定の大幅な変更。
・ラスボスの変更。
・「ガガーブ」や「ラウアールの波」、「水底の民」に関連する件が多く追加された。

・・・・などなど、オリジナルとは全く違うストーリーとして生まれ変わった朱紅い雫。
「PC-98版の方が良かった」、という方が非常に多いのもある意味うなづける。
だが、PC-98版を知らない方には、この「設定の変更」のことは知っているわけが無い。
むしろ、大幅に変更されたWindows95/98バージョンの方が、PC-98そのままストーリーとしてリリースされた場合よりも楽しめただろう。
旧作のメインストーリーは短すぎるが、味があった。新作はメインストーリーのみに集中できる様になっている。例えば、オープンシナリオ
の排除など。新しいユーザーにもやさしい朱紅い雫、ってところだろうか。

絆 -熱き想いを胸に-

*新規追加のBGMの出来は・・・?

Windows95/98版のリリースでは、新しく追加された曲も数多い。
以前の曲は数多く削除され、新曲と旧作曲との比率は半々となっている。しかも、旧作の曲のほとんどにニューアレンジが施されてあるので、サウンドのみに関して言えば、新しい物が多かった。新曲&アレンジの方が、旧作の曲よりも素晴らしいものが多い。
ギターアレンジのサウンドも頑張っているが、今回の曲たちの中で特に素晴らしかったものは、オーケストラアレンジの曲だろう。
”絆-熱き思いを胸に-”のような、聴いていて恥ずかしいような曲も多いけれど、全体的に統一された楽曲が多かった。

ずばり、エンディング(スタッフロール)の曲。今までのガガーブトリロジーの集大成として、堂々としたオーケストラだ。Windowsの白き魔女、海の檻歌をプレイされた方ならば思わず感動の波に誘われるメロディーだったとおもう。ベースは、「英雄伝説4 J.D.K.Electric Orchestra」のTr1:朱紅い雫だが、それをも遥かに上回る素晴らしい曲だった。
使用シーンの不都合などから、未使用曲となってしまった旧作の数多くの曲達。それらの無念を晴らしてくれた、素晴らしいフィナーレでした。

密かにFM音源も、楽器の一員としてサウンド内に組み込まれている様だ。いくつかの曲では、使用されているのを聴き取れたが、イース
2エターナルの時の様に、かなりの曲にFMを使用しているわけではなかったので正直言って安心しました。
たとえば、後半バトル曲の”守るべき一線”などは、ベースの音色はFM音源によるサウンドを加工した物だそうです。
イントロから飛ばしまくっている曲ですね。”負けるものか!”よりスピード感&緊張感がある曲だ。(エクソムドリトス強すぎ。)


雨降る大聖堂


*移植の終焉


こうして、Falcomゲームの一つの歴史が終わった。三作とも似たゲームスタイルでありながら、ファンに絶大な支持を受けてきた。最後の移植ゲームを飾るにふさわしいゲームとなった朱紅い雫。Windowsに移行してから、移植ゲームにはあまり良い事がなかったが、最後で報われましたとおもう。

ゲームも3Dを使用したりしていて、今までの技術意外に新しい物に目を付けている。
魔法エフェクトは殆ど3Dのようですね。「シャイン・ブレッド」や「オキサイドサークル」のエフェクトはカッコ良かった。魔法エフェクトまで2Dで描いていたら(海の檻歌がそう)なんかしょぼくなってしまうしね。3Dによる魔法エフェクトって、滑らかにアニメーションします。剣で斬った時に出る火花も3Dかな?ラスボスの追尾レーザーなど、シューティングゲーム顔負けの演出だと思う。

ガガーブ三部作としての朱紅い雫。PC-98”朱紅い雫ファン”には厳しい物があったと思うが、Windows版と割り切って考える必要性がある。同じゲームタイトルでありながら全く違うベクトルからゲームを再構築したファルコムの手腕。PC-98版とWindows版はゲームに流れているテーマその物が変更されている点に気付いたでしょうか。こういった、ひとつの作品から違う可能性を見出せるゲームは、そうないと思う。

これからは、過去の呪縛に囚われることなく自由にゲーム製作が出来るようになったファルコム。
最後の移植作品となった”朱紅い雫”を超えるゲームがファルコムから発売されるのは時間の問題だろう。



個人的なゲーム評価

ストーリー
STORY
★★★★★★★★☆☆ :080
PC-98版とは違う、”ガガーブ三部作としての朱紅い雫”のストーリー演出が目立った。キャラクターの白き魔女化など。全体的にPC-98版で言いたかった点が、妹を殺さなかったり、マドラムがたんなる良い奴になってしまい薄くなっている。だが、それでも、新しいWindows版ストーリーであると考えるならストーリー全体のできは良い。
サウンド
SOUND
★★★★★★☆☆☆☆ :060 
効果音は三部作で似たようなイメージのゲーム音。音楽は良いデキなのだが、エフェクトなどのかけ具合があまり良くなく、全体的にスカスカして奥行きが無い。これはファルコムゲーム全般に言える事だ。
グラフィック
GRAPHICS
★★★★★☆☆☆☆☆ :050
65535色を使用しているので確かに見栄えは良い。だが、チップセットが消極的なサイズなので迫力は無い。マップで使用されている特殊エフェクトには目を見張る。(時空間迷宮など)3Dで描かれた魔法グラフィックは同社最高レベル。
操作性
DEVICE
★★★★★★★★★★ :010
ファルコムゲーム全般は操作性に優れている、というか、殆どのゲームが「操作しやすい」。
自由度
FREESCINARIO
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ :000
全くの自由度無し。ガガーブ三部作の常で、一度行った村にすらも戻れない事が多い。PC-98版との相違点のひとつ。
総合評価
TOTAL
★★★★★★★☆☆☆ :070
PC-98版再現で考えるといけない。あくまで、Windows版(ガガーブ三部作)の朱紅い雫すなわち、新しいゲームであると割り切って付き合わないと、PC-98からのユーザーにはつらいと思います。


個人的私見
ファルコム最後の移植作品として優秀の美を飾ったゲーム。
Windows95で発売されたガガーブ三部作の中で、最も楽しめるゲームだと思う。
欠点と言えば、あちこちで示唆されつづけてきた「バグの多さ」だろうか。
(ファルコム初の)3Dグラフィックエンジンを使っているので、ハードウェアによっては不都合が起こり、中央に黒い三角形が浮かび上がるという症状が多発した。それは、うちのマシンでも起こった。そういったバグの数々を修正しようとしなかった点は痛いと思う。ユーザーのことを考えてほしい。