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「イース20周年記念 Falcom Live 2007」 ライヴ・レポート
Falcom Live 2007 Ys 20th Anniversary
2007.03.24(SAT) duo MUSIC EXCHANGE(渋谷)





2007年、「日本ファルコム」というパソコンゲームメーカーは26年目のキャリアを迎えた。国産PCゲームメーカーの雄・・・その顔とも言えるシリーズが現在二つ有る。一つは「イース」シリーズ、そしてもう一つは、「空の軌跡」シリーズ、である。(後者は、「英雄伝説」第6作目から派生し、単独シリーズとなりつつある。)それら二つのシリーズが交互に作品発表を重ねることで、今のファルコムゲームは、それまでのリメイク時代の消極的なラインナップから開放され、続編モノを中心であるが新しいゲームが毎年発売されるようになった。
だが、前年は、「イース・オリジン」と「空の軌跡SC」、海外プロデュース作品として「幻想三国誌II」と、数としては多いものの、どこかマンネリ化の兆しも見られ、来年以降への不安となりつつもある。(イース、英伝が三作品ずつ交互に続いた・・・となるとそれは行き詰まり、という意味にも繋がらないだろうか?)
そうしたシリーズ・マンネリ化への不安もややあるが、今のファルコムは株式上場以降、ゲームの安定供給を続けている。主軸シリーズの合間に海外プロデュースモノや自社移植(PSPなど)ものや新作などがリリースされていくだろう。

そんなわけで、ファルコム自社におけるゲームミュージックの充実振りに関しては、良質なゲームミュージックと、そのアレンジバージョンが多数発表されている現状、特に問題ないと思える。オリジナルサウンドの時点で、外部アーティストを導入、ボーカルやアコースティックギターといった「打ち込みではない生演奏」パートが加わり、ファルコムサウンドチームJ.D.K.伝統のメロディを重視したゲームミュージックがより骨太になった。
このライヴの時点での最新作「イース・オリジン」では、ヴァイオリンとギターが気持ちいい、アッアッアッアッ・・・・と揶揄されても、なんだかんだで人気のロック曲「GENESIS BEYOND THE BEGINNING」(オープニング)をはじめ、全般的にノリが良く、インストゥルメンタル曲はまさしくライヴ向き!と思えるようなサウンドが多く、「イース・オリジン」だけで一本のライヴが出来そうな勢いであった。過去の「イースI・II」からのカヴァーはあるものの、殆どのモティーフは新曲である。「イース」シリーズといえば、「英伝」や「空の軌跡」のように湿っぽさが少なく、どの作品も元気なロック調のサウンドが特徴的だ。(Vは、スーファミの音源で、シンフォニックな音なので除外)そうした曲を中心に選曲されることだろう、と思っていたのは、おそらく僕だけではなかったはずだ。

お客さんは、前回の300人から1000人に大幅増員となり、開演前は大変な混雑となった。そんな1000人が、ライヴハウスが少し広くなった感じの会場にドッと入っているものだから会場は熱気に包まれている。開演前の待ち時間、ずっと過去のキングレコード・ファルコムレーベル時代のアレンジナンバーが流され、マニアックな自分としてはBGM曲当てをしながら、このテキスト用のメモを黙々と続けていたのだった・・・。

前年8月に行われた、Into The SKY Falcom Live 2006(空の軌跡ボーカルアルバム発売記念)では、Windows以降のファルコムの看板タイトルとなった「英雄伝説VI 空の軌跡」(そして、その完結編をうたっていた「空の軌跡SC」)をフィーチャリングした内容となっていて、先行発売されたボーカルアルバムを中心とした編曲となっていた。
今回のライヴでは、「イース20周年」記念にちなんで、ほとんどの曲が過去の「イースシリーズ」ナンバーから抜粋された内容となっており、イース・ゲームミュージックの歴史を感じさせるものだった。すべての曲に、アレンジ引用元となったアルバムが存在する。そうしたリンクも張ったので、ライヴ・セットリストを参照に、イースとファルコムの歴史に思いを馳せてみては如何であろうか。

 


<<SET LIST>>
01.Victory!!
(小寺 可南子、1996年、イースI、エンド2 出展:Falcom Special Box'97

02.In Adventure World
(しばざき あやこ、1989年、イースII、エンド2 出展:Vocal from Ys

03.パンドラ
(山脇 宏子、2005年、イースVI、樹海 出展:The Songs Of Zemeth

04.ぐるぐるtonight
(イカルス 渡辺、2004年、ぐるみん、Op 出展:Original Sound Track ぐるみん

05.MIGHTY OBSTACLE -The Wind of Zemeth-
(イカルス 渡辺、2005年、イースVI、中ボス 出展:The Songs Of Zemeth

06.YSY -至宝の彷徨-
(墨谷 美輝、2007年、イース・オリジン、エンド曲 出展:イース・オリジン SAV

07.ALL BECAUSE OF YOU
(墨谷 美輝、1989年、ソーサリアン、エンド1 出展:Falcom Special Box'90

08.LILIA
(う〜み、1989年、イースII、リリアの曲 出展:Vocal from Ys

09.星の在り処
(う〜み、2004年、空の軌跡1st、エンド曲 出展:Original Sound Track 英雄伝説VI 空の軌跡

10.ハーモニカ〜朗読〜女神たちの囁き
(しばざき あやこ、1992年、イースI、タイトル 出展:FEENA/南 翔子

11.TO MAKE THE END OF BATTLE
(インスト曲、1991年、イースII、Op 出展:Falcom J.D.K.BAND1

12.バレスタイン城 -Full Version-
(インスト曲、2005年、イースIII、バレスタイン城 出展:Perfect Collection イース・フェルガナの誓い

13.GENESIS BEYOND THE BEGINNING
(インスト曲、2006年、イース・オリジン、Op 出展:Original Sound Track イース・オリジン

14.Cry for me, cry for you
(小寺 可南子、2007年、空の軌跡 the 3rd、Op 出展:Original Sound Track 英雄伝説 空の軌跡 the 3rd

15.銀の意志 金の翼
(山脇 宏子、2006年、空の軌跡2nd、Op 出展:Original Sound Track 英雄伝説 空の軌跡SC

16.I swear...
(小寺 可南子、2006年、空の軌跡2nd、エンド 出展:Original Sound Track 英雄伝説 空の軌跡SC

(アンコール)
17.SCARS OF THE DIVINE WING
(インスト曲、2006年、イース・オリジン、ボス 出展:Original Sound Track イース・オリジン)

18.Endless history
(みんなで順々に歌う、1990年、イースI、エンド1 出展:Perfect Collection イース1

19.Cry for me, cry for you
(小寺 可南子、2007年、空の軌跡 the 3rd、Op 出展:Original Sound Track 英雄伝説 空の軌跡 the 3rd

20.Smile Again
(みんなで順々に歌う、1990年、イースI、エンド2 出展:Perfect Collection イースII

<<LIVE MUSICIAN(敬称略)>>
Vocal,Chorus:"SKY"・・・しばざき あやこ(S)、小寺加奈子(K)、山脇 宏子(Y)
Guest Vocal:う〜み、墨谷 美輝、イカルス 渡辺
Keyboard:シゲ山本
E.Guitar,A.Guitar:後藤 晃弘、ミッキー田中、寺前 甲
Bass:榎本 敦
Violin:熊沢洋子
Drums:美山 恭寛


前回のライヴとの最大の違いは、バンドメンバーがフルメンバーで、完全に演奏をしているという点に尽きる。

前回は、はじめてのライヴ・イベントということもあってか、ベーストラックとドラムトラックなどに録音物が使われていた。曲によってはカラオケ・トラックをそのまま流して、ギターとキーボードが演奏に加わるという、ちょっと予算面で悲しい内容だったのだが、アコースティック系のアレンジの曲が多い「空の軌跡」だったから逆に、きれいなボーカルバラード中心となり、これはこれで、悪くないものだった・・・。音が少ないので、「聴き入る」系のヴァイオリンのアレンジが良い意味で引き立てられ、今回の「イース」ライヴのロック中心とは正反対の印象が残ったはずである。

01. 一曲目の「Victory!!」は、ノリの良いオープニングナンバーで、ファルコム・スペシャルボックス'97のボーカルモノをカヴァーしたナンバーで、これをヴォーカルの小寺さん、演奏の両方でほぼ完璧に再現しているものだから、原盤を持っていた者としてはうれしいものがあった。
こんな熱狂的なシーンは、前回のライヴにはあまり見られなかった。この時点で、僕個人的に、このライヴは大成功に終わる・・・!と、確信めいたものを感じていた。

02. 「In Adventure World」、意外な選曲で、ツイン・ギターも再現していたが、しばざきさんがやや低めの音域になると音が外れてしまうのが、ちょっと・・・。と思ってしまった。前回のライヴでは「ザナドゥ・ネクスト」のエンド曲「White Lie in Black」で、原盤より更に1オクターブ高い歌声(あーあああー・・・って間奏のあたりからが、鳥肌)に感涙ものだっただけに、ちょっと意外だった・・・。高音のバラード調の歌が似合うのかも・・・。

03. 「パンドラ」。山脇さんの「銀の意志 金の翼」と並ぶ、マイ・もち曲。アコースティックギターを中心としたアレンジと、最後にお客さんに「ラーララー・・・」とコーラスを振るパフォーマンスは前回と同じ。盛り上がりがハッキリとしていて良い曲だ。この曲までで、「SKY」の三人が挨拶代わりに一曲ずつ歌って、ゲスト・ボーカルが二曲ずつ持ち曲とカヴァー曲を歌う、という形式に入る。

04. ゲスト曲。「ぐるぐるTonight」。高音がとっても綺麗なイカルス 渡辺さんがボーカルをとるオープニングナンバー。マイクパフォーマンスも、「SKY」の女性陣よりこなれていて、(盛り上げ方とかを、ライヴ慣れして心得ているあたり)逆にホッとしたり。演芸ロックというジャンルでライヴされている人である。
「さぁ腹から声出してみようか!どんどん!すばらしい、拍手!」
「イース二十周年記念おめでとうございます!拍手!」

05. メタルな「MIGHTY OBSTACLE -The Wind of Zemeth-」。イカルスさんがボーカルカヴァー。イースVIで、圧倒的な人気の原曲。キーボード・ギターソロのバトルや、とっても格好いいバッキング・ギターのリフなど、ハードロックやへヴィーメタルが好きな人にはたまらない曲ではないでしょうか。絶叫もあって、お客さんの盛り上がりも半端でなかったです。
「さん、にぃ、いち・・・!ダァァーッ!!」

06. 「角じゃなくて美女だよ!」ゲスト2人目は、墨谷さん。「YSY -至宝の彷徨-」は、イース・オリジンのエンディング曲のヴォーカル版で、二番以降にドラムとギターが活発に参加してくるアレンジは、静かなサウンドながらも秘めたる熱いものがあった。墨谷さんがファルコムサウンドのボーカルに携わる第一曲めである。

07. イントロで分かった人が少なかったようだが、ソーサリアンのエンディング曲である。スローバラードが美しい。日本語版と英語版とあるが、ライヴでは英語版。(英語版のアレンジは、Eギターが入るなど、結構忠実なサウンドだった)このあたり、僕などはファルコムゲームのアレンジサウンドに慣れ親しんできたものにとってはうれしいもので、よくこの曲を持ってきたものだ、と感心したものである。プレイヤー暦が確実に割れる、そんな空気を感じたものである。

08〜09. う〜みさんのソロ。イースIIのリリアのテーマ曲なんですが、ここでもジェネレーション・ギャップが・・・。時間の流れって恐ろしいものです。次は、ファン待望の「星の在り処」。歌う間一切がしんと静まった会場は、一種の感動状態にあったのだと思います。合間のお茶目なコメントも息抜きにグッド。

10. ここから、インスト三連発が、イースI、イースII、イースIII、オリジンと続くのですが、まずはしばざきさんのハーモニカ〜朗読パート、そして、ボーカルのFEENAとなります。イースの建国のストーリーを、イース・オリジンのOpナレーションを手がけた本人による再現。前回ライヴでも、「ザナドゥ」の詩の朗読がありましたけど、フランス語に強いしばざきさんならでは。

11〜13. インストゥルメンタルナンバー三連発。本ライヴの最大の肝。J.D.K.BANDヴァージョンの「TO MAKE THE END OF BATTLE」(Ys II)をコピーして熱演、中間のドラムソロもしっかり再現されていた。「バレスタイン城」は「フェルガナ」バージョンを熱演、メロディー全部がギターソロの塊のような曲でさすがは「イースIII」を代表する曲だ!と思ったものである。最後は、「GENESIS BEYOND THE BEGINNING」(オリジン)、ゲーム版にソロを追加したフル・バージョンを演奏。これは流石に殆どの人が知っているようで、メドレーの最後にふさわしく、最も大きいリアクションがあったように思えた。熱気ぎらぎらの13分、インストだけで此処まで盛り上がるのか!と、GMのメロディーの持つ力の凄さみたいなものを改めて知った気がする。

14. 未発表の最新作「空の軌跡 the 3rd」のオープニング・ボーカルナンバーの御披露目。「静かな曲なのですが〜」のMcとは裏腹に、サウンドは普通にロックしているあたりが意外。分かりやすい曲なので、二番以降はお客さんの反応も良くなっていく。ファルコムのライヴ=新作を発表する、の図式となるのでしょうか、今後の動向に注目したいところである。

15. ゲーム本編とは雰囲気が異なる「銀の意志〜」。声がハズレたり、歌詞間違いがあったりと、ちょっとがっかり気味・・・。

16. 前回のライヴと同様、最後を締める「空の軌跡SC」エンド曲。安定したバラードで、前回のライヴには無かったドラムとベースが気持ちいいエンド曲となった。

17. アンコール曲一発目は、「オリジン」のボス曲。ゲーム版サウンドに近いアレンジ。お客さんがコブシを振り上げて掛け声まで起き、単発的な熱気は一番だった。一巡し、ギターソロ〜out。

18. リリアのときと同様に、世代の違いが浮き彫りなソングだったけど、個人的に満足。殆どアレンジされず、ボーカル版のカヴァー。こういった良き時代の名曲をしっかり掘り下げるのも、うれしい物がある・・・。

19. アンコール3。ここでラスト予定だったらしいが、急遽リクエストが入り「空の軌跡 the 3rd」の曲がもう一度演奏されることに。お披露目のムービー映像もループしながら再生していた。

20. 最後は全員で「SEE YOU AGAIN」。オープニングナンバーと同じ原曲がモトとなっているというギミックに、一体どれだけの人が気づいた事でしょうか?ここで、それぞれのパートごとにソロ部分を設けたメンバー紹介も兼ねての幕引きとなった。


別段、パソコンのゲームの業界にムーブメントを起こすほどの影響力は無いファルコムゲームであるが、此処最近の良作続きからか、いい具合に新規ファンが増えてきている。基本的に数万本単位で良いほう、10万本台の売り上げを見せるタイトルは両指の数に満たない。しかし、ゲームミュージックのサウンドのよさは今も昔も定評ある。プレイヤーと市場の規模は決して大きいものではない。しかしそれでも「日本ファルコムのゲームミュージックライヴ」企画で1000人を動員できる、これは単純に凄いことだと思う。

きっかけは昨年の「空の軌跡SC」。
Game Music Liveイベントの定例化、に期待を抱きたいものである。